新型コロナウイルスとEBPM
2020年3月8日 Special Report
山口 一男 独立行政法人経済産業研究所 客員研究員
政府は2月28日より小中高の一斉休校を要請したが、これは英断どころではないと筆者は思う。後述するが、年齢20歳未満の人々は被感染率においても、感染者の死亡率においても最も低い。感染死亡者数が1000人を超えた2月21日時点で中国における0-9歳の死亡者数は0、10-19歳は1人で、死亡者が2900人を超えた現在も0-9歳の死亡者数は0である。この事実は、学校はその学校に感染者が出ていない限り、未感染者である児童・生徒を半ば隔離している状態であり、電車通学の場合を別として、小・中学校での教育は感染について比較的安全な場所で児童・生徒を保護することを意味する。一方、休校にした場合、その時間をどう過ごすかによる不確定性によるリスクが生じる。もし休校になった中学生や高校生の一部が、自宅にこもらず町中に出て例えばゲームセンターなどに行くなら、学校に行くよりはるかに不特定多数の人との接触機会が増える。一方、多くの人が指摘しているように、休校に伴う社会的コストは非常に大きい。児童・生徒の学習機会の損失、児童保護のために仕事を休む親の所得損失(非正規雇用者の場合)や就業機会の損失などであるが、全国規模となればそのコストは計り知れない。
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