衣服と建物

建物と衣服は似ているように思います。

建物は道具というより着る方に近いと思うんです。良い衣服は人と会った時に、多分、印象が残らないんだと思います。良い衣服は本人とともに印象に残るように思います。それで本人の特性がそこに表現される。その役割を衣服がお手伝いをする、それが僕が思う良い服。人と会った後に本人の印象が残らないで、服の印象しか残っていないのは、それは悪い服だろうね。

結局、服って「こういう風にみられたい」だとか、あるいは「こういう風にはみられたくない」ということがあると思うんですよ。そういう観点でみんな例外なく服を選んでるんだよね。人と会って、別れて、その人の印象が残っていなくて、服の印象しかないっていうのはやはりセンスがないということでしょうね。

それは建物でも同じで「こういう風にみられたくないから、こういうビルに入りたくない」ということがあると思います。例えば、取引先の担当者が来るとき、新卒・中途の人を募集するとき、そこではひとつには衣服を通してその人を想像するわけです。そういうのと同じように、会社が入っているビルを通して、その会社をイメージするんですよ。だから優れた経営者はそれが分かっていて、商売しやすいような、人を募集しやすいようなビルを選ぶんですよね。