食品偽装表示問題を通じて

商売って何が何でも稼ごうと思えば、下品にならざるを得ない。場合によっては、悪いことをしなくちゃいけないこともあるかもしれないし。無論、悪い方向に行く場合には、「そんなに悪いことではないだろう」という風に本人の感覚や判断基準を軌道修正していくんでしょうね。例えば最近の食品関係の偽装表示問題も、僕が経営者側の立場に立ったときに「ああいうことを私は絶対にしない」という自信はないよね。そういうことをする前の状態が赤字スレスレで従業員にボーナスも払えない、給与も上げられない、設備の修繕の費用も出ない。でもああいうことをすれば、ボーナスを払えて、給与も上げられる、工場も衛生的に出来るとなった時に、あれをやらないでいられるかは自信がないよね。そういう背景、立場に立った時に本当にしないでいられる人間は、どの位いるんだろうか。

一方的にあれを批判する人は、その立場に立ったら何の疑問もなくやるでしょうね。自分について疑問をもたない、ものを考える習慣が無いということでしょうか。

だからいろんな事件が起こる度に、その立場に立っても自分がしないでいられるか、というのはいつもわたしは不安に思うよね。