5-8. コンクリート (2)
さてここで一旦、鉄筋コンクリートが発明される19世紀以前のコンクリートについて俯瞰しておきます。
RCではなくてコンクリートだけで考えた時には、実は古代の時点でコンクリート製建築物は存在しています。最も有名で完璧な姿で残っているのはローマのパンテオンです。
現代で一般的に使用しているコンクリートにはポルトランド・セメントと呼ばれ、工業的に生産されているものです。アルカリ性になる化学反応によって結合しており、それが炭酸化し表面から中性化することで徐々に強度を失います。一方でローマンコンクリートと呼ばれる古代ローマで使われていたものは、固化する成分がアルカリ性ではなく、カルシウムをあまり含まないので酸に強く、耐久性が非常に長いと言われています。古代ローマの建築ではパンテオン以外にも、コロッセオなども古代コンクリートによって作られていて、今なお現存しています。
施工方法は現代と同じで型枠を組みそこにコンクリートを充填していくというやり方だったそうですが、現代との違いは粗骨材や細骨材がモルタルと混ぜられた状態で型枠に流されるのではなくて、骨材を予め型枠に入れておいてそこにモルタルを流し込んで、空気抜き、締固めを行っていたそうです。また壁の場合には型枠に石やレンガを用いて、コンクリート打設後は型枠を外さずにそのまま仕上げとして扱っていたとのことです。また天井の場合は型枠が石やレンガというわけにはいかないので、木型枠で打設し、その後型枠を外して、打ち放しのままあるいはスタッコや石張りとして仕上げるということをしていたとのことです。
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