5-6. 壁紙 (1)

5.オフィスビルの素材

前稿の耐火被覆は馴染みの薄い素材でしたが、本稿ではオフィスに限らず、住宅を始めとしてあらゆる場所に使われていて誰でも目にしたことがあるであろう壁紙について書き進めたいと思います。
壁紙の発祥については諸説あり、一説には14世紀の中国、明の時代の時に壁に紙を貼る習慣があったようで、中国を訪れた西洋の宣教師たちが見てそれを自国に輸入したと言われています。壁紙以前の紙そのものについては、エジプトのパピルスを紙としなければ、紀元前150年頃の中国、前漢時代の地図が描かれたものが最古の出土品で、日本には7世紀頃に、イスラム世界にも8世紀頃に伝わっているようです。
日本においては、現在でも伝統的な製品として残っている和紙という形で、その後の発展がなされましたが、壁紙についてはどちらかというと壁に貼るというよりも襖や障子といったように建具に使われることが主たる用途だったようです。壁は土壁、砂壁であることが多いですが、利休式の狭い茶室において着物が壁で汚れないようにとの配慮から、幅木のように和紙を9寸くらいの高さに貼るという「腰張り」が、日本の壁紙の始まりであろうとのことです。

図5-6-1:腰張り

図5-6-1:腰張り

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