3-4. 近代日本のオフィスビル (4)
オットー・ワグナーのウィーン中央郵便局は1906年頃の建物でしたが、その四半世紀後である1931年に吉田鉄朗による上図の東京中央郵便局が建てられています。東京駅のすぐ脇に建てられていて、数年前にファサードのみを残して再開発されたKITTE、あるいはJPタワーと言えばお分かりの方も多いかもしれません。
日本近代の傑作の1つにも数えられているこの建物ですが、現代の視点から見るとなんてこともない古いオフィスビルにしか見られないかもしれません。ただ、先に例として上げた1904年に竣工した旧横浜正金銀行本店を思い返すと19世紀の歴史主義的な装飾的な外観の意匠から、柱と梁、そして開口部というとても少ない要素で構成しつつ、鈍角の角地の水平に細長いファサードを均整の取れた意匠でまとめられているこの建物を考えると、この数十年で近代建築の潮流が日本に流れ込んだかを感じることが出来ると思います。恐らく内側の機能との対応でしょうが各階で高さが変わっていることや、各サッシの脇に僅かな袖壁を取っていることなど、単調にならないように細やかな立面的な操作が行われています。
この後、1930年代以降から50年あたりにかけては、太平洋戦争前後の影響であまりこれといった事務所建築は建たなかったように思います。40,50年代は戦後の復興がもちろん進むわけですが、建築界で最も議論されていたのは住宅関連だったようで、やはりまずは住むところが基本のようです。60年代になると現在も残る名作オフィスビルが出てきています。
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