9-1. 図面 (12)

パラーディオの建築四書は450年前のものでしたが、ある程度以上の規模の建物を作るとなると図面がないと建てられません。人類が建物を建て始めた頃には図面などはなかったでしょうが、資料として残っていないだけで、ある時期からは確実に作図を始めたわけです。ルネサンスの意味するところは「再生」で、ローマ時代を理想としてその再生を目指していたわけですが、ローマ時代にヴィトルヴィウスが記した[De Architectura](日本語では「建築書」と訳されています)がルネサンス時代に再発見されました。遅くとも図面という形式はローマ時代には成立していたことが分かります。建築の形式を考えれば、恐らくギリシア時代にも図面は作成していたように思われます。

図9-1-8:De Architectura

図9-1-8:De Architectura

上の図は1521年にイタリア語(原典はラテン語)で出版されたものです。
ちなみにこのヴィトルヴィウスの建築書の構成を見てみると、建築設計とともに、材料の扱い(大きな石の持ち上げ方とか!)や都市計画など、施工から建築より広いものまで範囲として取り扱っています。更に言えば、軍事的な技術や水車など産業技術に関わる技術も合わせて記述されていて、建築と呼ばれていた概念の広さを伺えます。

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