4-5. 天井と屋根 (2)

より実際的な天井を考えてみましょう。オフィスビルの天井の素材はその空間の音環境に配慮して、ただの石膏ボードよりも岩綿吸音板というロックウール(岩綿)をボード状に成形したものを使うことが一般的です。

図4-5-1:岩綿吸音板

図4-5-1:岩綿吸音板

石膏ボードだと平滑な面なので音を反響してしまいますが、岩綿吸音板は多孔質な素材なので音を吸収します。また、オフィスビルの内装には火災を予防するために不燃材(燃えない素材)であることが求められていますが、
岩綿は金属を精錬するときに副産物としてでるスラグを溶融して繊維にしている人造鉱物繊維なので、燃えない素材なので不燃材の認定を取っています。

図4-5-2:岩綿

図4-5-2:岩綿

岩綿という素材は石綿(アスベスト)の健康被害が社会問題になって以降、代替品として使われるようになりました。見た目も字面も似た様なものですが、石綿は天然の繊維状の鉱物を指します。歴史上の文献にも度々みられ、燃えない衣として珍重されていたこともあったようです。近年になって石綿の発がん性の問題を指摘されましたが、代替品の岩綿には当然、発がん性はないとされています。

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