5-2. 石 (5)

前回まで、火成岩、堆積岩、変成岩のうち、火成岩について書きました。今回は堆積岩についてです。
堆積岩は礫、砂、泥、火山灰や生物の死骸が地表や海底で堆積して、圧力で押し固められて、あるいは化学的に反応して結晶化することで生成された岩のことを指します。堆積岩の分類は主に由来する成分で区分されることが一般的なようで、火山由来成分でできている火山砕屑岩、火山由来成分以外の砕屑岩、生物由来の生物岩、水中の成分が析出して固まった蒸発岩などがあります。
火山砕屑岩に分類される凝灰岩は火山灰などが堆積することで生成されるもので、建材として有名なのが栃木県で産出される大谷石です。灰が堆積したものなので石としては軽く、柔らかいので加工がしやすく、耐火性に優れているということで、石垣や石蔵の材料として重宝してきました。一方で崩れやすいので細かい意匠を施すものとしては不向きです。その素材を最も有効に活用したのがフランク・ロイド・ライトと言えるでしょう。彼が設計した旧帝国ホテルは全面的に大谷石を使用して、何とも表現し難い特徴的な意匠を実現しています。

図5-2-8:旧帝国ホテル

図5-2-8:旧帝国ホテル

ライトは日本で設計した他の仕事にも積極的に大谷石を利用して、大谷石を一躍、最も有名な日本の石の1つにしました。

図5-2-9:旧山邑邸

図5-2-9:旧山邑邸

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