6-1. 机 (6)

このようにアール・デコにおいて机の意匠のラディカルな転換があったその後、デザインの潮流としてはモダニズムやポスト・モダニズムといった時代が続きます。その当時の権力者の趣味を反映していた意匠をつくっていた時代からは変わって、建築家が自らの建築に置くための、建築観を反映したデザインの机をデザインしている例が見られます。

図6-1-10:リートフェルトの机

図6-1-10:リートフェルトの机

1つの極端な例がデ・ステイルというオランダの運動を推進したG・T・リートフェルトのこの机です。この運動はモンドリアンやテオ・ファン・ドゥースブルフといったメンバーとともに、水平と垂直といった限定された要素によって作品を構成するというある種の抽象主義を進めたものでした。

図6-1-11:モンドリアン

図6-1-11:モンドリアン

上のリートフェルトの机も幾何学的には長方形と円といった要素、色も白黒のほか三原色(赤・黄・青)で構成したものです。机とともに椅子も同様にデザインされ、更には建築物としてシュレーダー邸という住宅が設計されています。

図6-1-12:シュレーダー邸

図6-1-12:シュレーダー邸

このように建築の中で家具が位置づけられ、建築家の概念を強く表象するようになりました。その一方で、我々が現在使用している机は別物のようにも思えます。

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