5-1. ガラス (2)

そもそもガラスと呼んでいる物体は何を指すのでしょうか。必ずしも透明で堅いものというわけではありません。化学的に1つの厳密な定義を与えるのは難しいようで、物質のある状態を指していたり、特定の物質の種類を指していることがあるようです。物質のある状態というのは、原子レベルの話になりますが、アモルファスとも言われる非晶質固体のことで、結晶のように並進的な長距離の秩序は持たないものの、短距離秩序がある状態ということです。天然に存在する鉱物の大半が非晶質ということで、ガラスも元はと言えば自然のなかで見つけられたものでした。もう一方の物質の種類ということであれば、ケイ酸塩を主成分とする物質を指し、それ以外を主成分とする場合にはその物質を指して○○ガラスと呼ぶことがあるようです。
歴史的にはガラスは建築物が使われるはるか以前から、人類に利用されてきました。火山から噴火した溶岩がガラス質状に固まった黒曜石が矢じりや石包丁として、天然ガラスは石器時代から活用されています。人がガラスを製造する様になったのは紀元前4000年、エジプトやメソポタミア文明でガラスのビーズがつくられていたという記録があるようです。

図5-1-2:メソポタミアのガラス容器

図5-1-2:メソポタミアのガラス容器

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