4-2. 自動ドア (5)
このように「扉」は建築物において、「外」と「内」の関係をもたらす建築の本質的な意味を包含する部位です。そこで建物のエントランスに自動ドアを使うということはどういうことなのでしょうか?
扉について、日本と西洋の比較をしてみると1点、大きな差があるのは、日本では引き戸が頻繁に使われることに対して、西洋では引き戸はあまり見られず軸回転系のドア(開き扉など)が殆どであることです。これは伝統的に環境を制御することについて、西欧では冬が厳しいので気密性能が高い回転の扉が適しているのに対して、日本では夏の風通しを基にして建物が考えられていたので、回転系でばたつくものよりも、何スパンにも渡って大きく開放することができる引き戸が適していたためだと考えられます。よく言われていることですが、そういうこともあって日本の建築の「内」と「外」の関係が連続的だと言われているのだと思います。
そこに日本では自動ドアがかなり普及していて、ヨーロッパではそうではないということの理解の鍵があるように思われます。つまり自動で扉が開くということは、人がアクションを起こすまでもなく「内」と「外」が繋がるということなので、身体的にもその境界を曖昧にするということに繋がります。即ち、伝統的な日本の建築(空間)のあり方との意外な親和性があるのではないでしょうか。
オフィスビルも含めて現代的な建物の中にも日本では、日本で培ってきた文化が意外なところで内包されているものです。ちょっと変な感じはしますが、自動ドアも日本の空間の文化性の延長上にあると面白いものです。
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