2-4. 近代/オフィスビル (3)

舞台を19世紀のアメリカに移します。
15世紀来、ヨーロッパからの入植によって徐々に発展していたアメリカですが、18世紀後半の独立戦争や19世紀初頭のルイジアナ買収を経て、19世紀中頃には現在のアメリカの本土が形作られてきています。(遡ること僅か150年前!)基本的には欧州からの移民が即ちアメリカ国民だったわけで、新たに建てられる官公庁の建築物も当然、新古典主義が採用されています。一方で普通の街中はどうだったかというと、ニューヨークやシカゴはガラスの摩天楼が建ち並ぶ前で、低中層の建物が並んでいた様です。1835年にニューヨークで大火災があり、それを機に多くの建物が壊されました。その建替えの際には独立戦争で争ったイギリスで大流行していたパラディアンスタイル(*)が多く用いられ、その時分にはデザインのレベル差はあれど、様式的な点を考慮すれば官公庁や街中の建物が向かう方向性は大きくは変わっていなかった様です。

図2-4-2:NewYork1850

図2-4-2:NewYork1850

*)16世紀のイタリア・ヴィチェンツアの建築家アンドレア・パラーディオのスタイルを模したもの。ローマ建築の研究とそれを土台にした彼の作品、また彼が著した「建築四書」という本が新古典主義の建築家たちの共感を得て、時代が下ってから同様のスタイルを反復することとなった。

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