2-2. オフィスのルーツ・西洋編 (6)

これまで[bureau]という言葉から家具の流れを辿りましたが、建築物としてのオフィスをみてみたいと思います。
[officium]からオフィスはローマ時代まで遡ることが出来るとは言ったものの、それを言葉ではなく室内風景として捉えようとするとローマまで遡ることは実は難しいです。視覚的に室内風景を遡ろうとすれば絵画を探るのが主な方法だと思います。ローマの絵画の多くはいわゆるフレスコ画と言われる壁画やモザイク画がありますが、そこで描かれているのはもっぱら神話などをテーマにしたものなので、現代的な意味でのオフィスの風景を描いているものは見当たりません。
引き続き時代を下って中世になると、ヨーロッパは美術的にはキリスト教の時代がやってきます。多くは木の板(祭壇の一部を担う。)に聖人や聖書の内容を描いた宗教画が殆どで、風景画や静物画、風俗画などはなかなかみることができません。あるいは時禱書(*)の中にミニアチュールが描かれていたりもしますが、それも多くは宗教的なワンシーンを描いているものです。

図2-2-5:book of hours

図2-2-5:book of hours

(*時禱書とは中世に多く作成された装飾画本で、多くの挿絵(ミニアチュール)を用いたキリスト教の手引書のような本のこと。)

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